国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は2009年の1億2800万人から、2055年にはほぼ9000万人となり、100年後には半減すると予測されています。また65歳以上の人口の割合を示す高齢化率は、2009年の22.7%から2055年には40.5%まで跳ね上がると予測されています(出生率推移が中位のケース)。
このように日本の社会が人口の激減と急速な高齢化を迎えるにあたって、私は資産運用ビジネスこそが、これからの日本を担う基幹産業になるはずだと固く信じています。またそのことが、今の日本を覆う閉塞感を打ち破り、活力ある社会をつくることにつながると考えています。
現在の日本の豊かな社会と国際的な地位は、日本の長い歴史と文化がベースになっているものの、経済的な側面から見れば、戦後私たちの父母や祖父母が懸命に努力してきた結果であると言えるでしょう。海外から原材料を輸入し、日本で製品をつくり、それを世界中の市場に売って得たお金で、現在の日本の財政を支えているのが現状です。
日本銀行の資金循環統計によれば、2010年3月末の個人金融資産は1452兆円で、そのうち約半分の798兆円が現金・預金となっています。金融機関が保有する国債・財融債が516兆円、個人保有分が34兆円であることを考え合わせると、日本人の富の多くが依然として、リスクは低いがリターンも極めて低い運用を強いられていると言えるでしょう。
私はまずここに、日本の資産運用ビジネスが果たすべき社会的責任があると考えます。国民が本当に信頼できる、質の高い運用商品を提供すること。そこに預けていただいた資金にマーケットでせっせと働いてもらい、その利益を国民に返すこと。効率的で規律のある運用をすれば、きちんと利益を生み、財産が増え、将来の生活の不安が取り除かれ、日本人がもっと前向きにお金を使えるようにすることです。
また、玉石混淆のマーケットの中で、将来性のある会社にお金を振り向け、適切ではない経営をしている会社や、退場すべき会社には出て行ってもらい、社会の新陳代謝を促していくこと。人口が減少する日本だけに目を向けるのではなく、かつての日本のように経済がぐんぐん発展する地域、親の世代よりも良い暮らしを目指して生活する人々、達成感を求めて高い意欲をもって社員が働く会社に投資して、その富を取り込んでいくことで、次の時代の豊かな日本をつくることも重要な役割です。
そして投資した会社にも、言うべき意見をどしどし言って、私たちの子供や孫たちのためにもっと良い世の中をつくること。そのような真の資産運用ビジネスを担う、高い志と能力を身に付けた一流の人材を育てること。それらが今、日本の資産運用業界が果たすべき社会的責任ではないかと、私は思っています。
以上
速水 禎(はやみ ただし)
朝日ライフ アセットマネジメント株式会社 資産運用部 リサーチチーム SRI運用チーフファンドマネジャー。1988年早稲田大学法学部卒。野村證券株式会社・野村投資顧問株式会社(現 野村アセットマネジメント株式会社)を経て、2000年に朝日ライフ アセットマネジメント株式会社入社。2000年より「朝日ライフ SRI 社会貢献ファンド(愛称:あすのはね)」の運用を担当。著書に「SRI社会的責任投資入門」(日本経済新聞社、共著)。SRIに関する講演・執筆など多数。
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