ロボット産業における日本の技術力の高さは、特許の出願件数でも見ることができます。特許庁が発表した「平成18年度特許出願技術動向調査報告書」によれば、1999年から2005年までの日本での特許出願件数ランキングでは、ソニー、松下電器(現パナソニック)、ホンダをはじめとする上位10社はすべて日本企業となっています。中でもソニーやホンダが上位に来ている要因としては、AIBOやASIMOなどペット・ロボットやヒト型ロボットの技術開発があると考えられます。また安川電機、ファナック、川崎重工といった産業ロボットメーカーも上位にあります。
米国での特許出願件数上位10社を見ると、日本と米国が各4社、韓国とドイツが各1社となっています。ソニーは日本と同様米国でも1位になっています。さらに欧州での上位10社は、日本が4社、ドイツが3社、米国が1社、スイスが1社、スウェーデンが1社となっています。欧州での出願件数1位は日本のファナックです。
日本ロボット工業会によると、世界の産業用ロボットの3分の2が日本で生産され、3分の1が日本で稼動しており、日本は世界の「ロボット大国」といえます。その日本の産業用ロボットの代表選手が、安川電機、ファナック、川崎重工です。これらの企業を中心として、多くの完成品、部品メーカーが日本には存在しています。
今後は産業用ロボットだけでなく、高齢化社会の到来に伴い介護やリハビリテーションに加え、オフィスビルの清掃やメンテナンスなどの分野でも、急速にロボットの必要性が高まってくると、私は予想しています。また家庭内での掃除、洗濯、片付け、介護など生活用ロボット分野でも多くの企業が事業化を競っており、パナソニックは家庭用を含むロボット事業で、2015年に売上高1,000億円を目指しています。
さて、将来に向けたロボットの開発で、現在私が最も注目しているのが、BMI(Brain Machine Interface)と呼ばれる技術です。これは、脳が活動すると出てくる電気信号を検出して、機械を操作する技術です。脳は、記憶や運動、感覚などをつかさどる機能を担っていますが、集中力を高めたり、身体を動かしたりすると、脳波や脳の血流量が変化するため、それらのデータをもとに人の意図を推定し、ロボットや家電、コンピューターの動作に指示を出すことができるようになります。
頭で考えただけでロボットを動かすという、まるでSFの世界にいるようなこのBMI技術は、すでにトヨタ自動車と理化学研究所、ホンダと島津製作所などが開発に成功しています。脳神経科学とロボット工学の協調によって開発が進むこの分野は、いまだにその多くが謎に包まれた脳のメカニズムの解明にもつながると考えられ、将来の覇権を左右する次世代産業技術の代表格であると、私は見ています。
世界に貢献する日本のロボット産業の今後の動向に注目していきたいと思います。
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速水 禎(はやみ ただし)
朝日ライフ アセットマネジメント株式会社 資産運用部 リサーチチーム SRI運用チーフファンドマネジャー。1988年早稲田大学法学部卒。野村證券株式会社・野村投資顧問株式会社(現 野村アセットマネジメント株式会社)を経て、2000年に朝日ライフ アセットマネジメント株式会社入社。2000年より「朝日ライフ SRI 社会貢献ファンド(愛称:あすのはね)」の運用を担当。著書に「SRI社会的責任投資入門」(日本経済新聞社、共著)。SRIに関する講演・執筆など多数。
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