朝日ライフ アセットマネジメント株式会社(以下、「当社」という)は、2013年10月に、国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)への署名を行い、2014年5月に、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫(以下、「本コード」といいます)の趣旨に賛同し、これを受け入れることを表明しました。本コードに関する2017年5月の改訂及び2020年3月の再改訂についても、各原則に賛同し、受入れを表明するとともにスチュワードシップ責任にかかわる基本方針を改定しました。なお、原則8については、機関投資家向けサービス提供者を対象とする原則であるため、機関投資家である当社では対象としておりません。
当社は、スチュワードシップ活動に積極的に取り組むことが投資先の企業価値の向上を促し、受託資産の中長期的なリターンの拡大につながると考えています。また、持続的な企業価値の向上は、投資家だけでなく当該企業や顧客、従業員などすべてのステークホルダーにとって利益になると考えています。
当社は、本コードに受入れにあたり2014年6月に「責任投資委員会」を設置し、スチュワードシップ活動に積極的に取り組んできました。
責任投資委員会においては、責任投資にかかわる基本方針、スチュワードシップ責任にかかわる基本方針、議決権行使に関する規程・ガイドライン、ESGにかかわる基本方針等を協議のうえ決定するとともに、それらの実行状況についてモニタリングし、資産運用担当部門へのフィードバックを行っています。
2020年4月には、投資プロセスへのESGの活用、ESGにかかわる投資先企業とのエンゲージメントの強化及びリテラシーの向上等の推進を目的として、ESGにかかわる専門組織を設置しました。2024年4月には、当組織の活動強化及びESGを活用した運用手法の一段の高度化を図るため、責任投資推進室を設置しました。当室は、その他部署との連携を図り、運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づくスチュワードシップ活動が適切に行えるよう取り組みます。
利益相反管理体制の強化を目的として、2017年5月に責任投資委員会の構成メンバーを資産運用担当部門および利益相反管理部門に限定し、2018年5月には社外委員を構成メンバーに加えました。さらに、2021年4月には社外の第三者が構成メンバーの過半を占める責任投資監督委員会を新設しました。これにより、利益相反管理部門であるコンプライアンス・リスク管理部および責任投資監督委員会の委員が、利益相反が生じる可能性のある当社と取引関係等を有する企業の議決権行使について判断の妥当性を検証するほか、社内の独立した部門である内部監査部が①議決権行使(利益相反管理を含む)に係るガバナンス体制、②個別の議決権行使に係る意思決定プロセスを監査項目として、責任投資委員会、規程・ガイドライン等の整備状況や、利益相反管理、議決権行使の運用プロセスの妥当性等について事後検証を行い、取締役会・監査役会に報告する体制としています。
原則1
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
当社は、スチュワードシップ活動に積極的に取り組むことが投資先企業の企業価値向上を促し、お客様の長期的な資産形成と持続可能な社会の実現に貢献できるように努めます。また、持続的な企業価値向上は、投資家だけでなく当該企業や顧客、従業員などすべてのステークホルダーにとって利益になると考えます。
当社は、受託資産の運用において、投資先企業の財務情報だけでなく、ESG 課題に関する取組みなど非財務情報を調査・分析することによって、本質的価値を評価します。また、サステナビリティ(ESG 要素を含む中長期的な持続可能性)を考慮したエンゲージメント活動や議決権行使を行います。
原則2
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
当社は、お客様の利益を第一に考え、当社が行う運用等の業務においてお客様の利益を不当に害することがないよう「利益相反管理方針」に則り、利益相反が生じる可能性がある取引等について適切な管理を行います。
当社または当社グループ会社と関係の深い企業(以下、「利益相反管理先企業」といいます)の評価においては、当社の投資哲学に基づき、企業の本質的な価値を適正に評価します。
利益相反管理先企業に対する議決権行使においては、スチュワードシップ活動を行う上で重要な影響を及ぼす利益相反が生じる可能性があると認識し、以下の通り適切な管理体制を構築します。
(1)他の投資先企業と同様に「国内株式株主議決権行使ガイドライン」に基づき、株式運用担当部門において起案し、チーフ・インベストメント・オフィサーが最終意思決定を行います。
(2)「国内株式株主議決権行使ガイドライン」については、チーフ・インベストメント・オフィサーを委員長とし、資産運用担当部門および利益相反管理部門に限定して構成される責任投資委員会において決定されます。
(3)利益相反管理部門であるコンプライアンス・リスク管理部および社外の第三者が構成メンバーの過半を占める責任投資監督委員会の委員が利益相反管理先企業の議決権行使の判断の妥当性を検証するほか、社内の独立した部門である内部監査部が①議決権行使(利益相反管理を含む)に係るガバナンス体制、②個別の議決権行使に係る意思決定プロセスを監査項目として、責任投資委員会、規程・ガイドライン等の整備状況や、利益相反管理、議決権行使の運用プロセスの妥当性等について事後検証を行い、取締役会・監査役会に報告する体制とします。
当社の経営陣は、ガバナンス体制、利益相反管理に関する現況及び課題を認識し、これらの課題改善に向けた取組みを推進します。
原則3
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。
当社は、国内株式のアクティブ運用において、「企業の質の評価と株価のミスマッチ」や「業界の魅力度と投資先企業の競争優位性」、「中長期にわたるサステナブルな成長」などに着目し、財務情報だけではなく、ESG 課題に関する取組みなど非財務情報を調査・分析することにより、投資先企業の本質的な企業価値を適正に評価することが付加価値の源泉になると考えます。
企業調査においては、運用戦略に応じて、「経営戦略」、「業界特性」、「競争優位性」、「資本効率」、「株主還元」、「経営者の資質」、「成長性」などを評価項目として現況と将来的な方向性を継続的に一つ一つ的確に見極めます。さらに、中長期的な企業価値に重大な影響を与える可能性があるサステナビリティ重点分野に関するリスクと機会について、マトリクスを活用して評価することにより、本質的な企業価値を適正に評価し、投資判断を導き出します。また、投資先企業の企業価値を毀損する可能性のある不祥事、不正行為などについては早期に把握するように努めます。
原則4
機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。
当社は、投資先企業の企業価値の持続的な向上を目的として、エンゲージメント活動を実施します。
当社は、サステナビリティを重視した質の高いエンゲージメントの実践と運用手法の高度化、スチュワードシップ活動の実行状況についてのモニタリング強化などに向けた取り組みの一環として、国内株式における社内共有のサステナビリティ重点分野を特定しました。
サステナビリティ重点分野において、対話を通じた企業価値向上の余地が大きいと考えられる投資先企業を中心に真摯に意見交換を重ね、認識の共有とその改善を図ります。また、これらの評価項目の変化を企業の本質的な価値の評価に反映して投資判断に直結させます。
エンゲージメント活動において重要視するサステナビリティ重点分野や対話の視点については、資産運用担当部門において毎年度見直しを行うとともに、より具体的な方針を年度ごとに設定します。
これらの方針に従い、運用ミーティングにおいて対話の対象企業とそれぞれの企業ごと・サステナビリティ重点分野ごとに解決すべき課題を定め、対象企業を最も良く理解する担当ファンドマネジャーおよびアナリストが「目的を持った対話」を実施します。
当社は、エンゲージメント活動の進捗状況を定量的かつ効率的に管理するため、5 段階のマイルストーン(プログレス0(投資先の深い理解・解決すべき課題の設定)、プログレス1(当社からの懸念の表明・課題の提示)、プログレス2(企業による課題の認識・共有)、プログレス3(企業による課題改善への着手)、プログレス4(課題の改善・目標の達成))を定義し、対象企業別・対話テーマ別に活動ステージを記録します。
エンゲージメント活動の実施に際しては、対話テーマ別に各対象企業が抱える「課題」や活動の成果として到達する「目標」を設定することによって、課題解決に資する継続的な対話の促進を目指します。
当社が特定したサステナビリティ重点分野は、以下の通りです。
<ESG 分類> | <サステナビリティ重点分野> |
環境(E)
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気候変動・エネルギーマネジメント |
循環型社会 | |
環境(E) 社会(S) |
サプライチェーン |
製品・サービスの革新 | |
社会(S) |
人材育成 |
健康と安全 | |
ダイバーシティ&インクルージョン | |
製品・サービスの安全性 | |
情報セキュリティ | |
ガバナンス(G) | 資本効率・株主還元 |
経営戦略 | |
ガバナンス | |
情報公開 | |
法令違反・反社会的行為 |
パッシブ運用及びクオンツ運用については、投資先の企業価値向上を促すために中長期的な視点に基づいて議決権を行使するとともに、必要に応じて対話を行うことを検討します。
投資先企業との対話については単独で行うことを基本としますが、有益と考えられる場合には他の機関投資家と協働して対話を行うこと(協働エンゲージメント)を検討します。
当社は、投資先企業との対話において未公表の重要事実を求めません。万が一、未公表の重要事実を取得した場合は、インサイダー取引規制に抵触することがないよう社内規程に基づき厳正に当該情報を管理します。
原則5
機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
当社は、投資者からの委託を受けて運用を行い、受託資産の価値向上を図る運用会社として、受託者責任を負っています。
その中で投資先企業に対する株主議決権の行使は、投資先の企業価値向上のための重要な手段であるとの考えに基づき、「議決権行使に対する基本方針と議決権行使体制」及び「国内株式株主議決権行使ガイドライン]を定め、積極的な議決権の行使を行います。また、これらの基本的な考え方については、必要に応じて見直しを行います。
当社は、この「国内株式株主議決権行使ガイドライン」に則り、投資先企業の調査および対話の経緯等を踏まえた上で、株式運用担当部門において起案し、チーフ・インベストメント・オフィサーが最終意思決定を行うことにより議決権を行使します。
「国内株式株主議決権行使ガイドライン」及び議案の主な種類ごとに整理・集計した結果やその概況、個別企業・個別議案ごとの行使結果等について説明した「国内株式議決権行使状況」をホームページに公表します。
原則6
機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
当社は、投資先企業との対話と議決権行使が、スチュワードシップ責任を果たすための中核的な活動と考えます。
そのため、報告を要望されるお客様に対し、議決権行使結果に加えて、投資先企業との対話の状況について定期的に説明を行うとともに、スチュワードシップ活動の取組状況をまとめたレポートをホームページに公表します。
原則7
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。
当社は、受託資産の中長期的なリターンの拡大を実現するためには、より高度なスチュワードシップ責任を果たせるよう実力を養うことが重要と考えます。
そのため、運用担当者は投資先企業の調査・分析のスキルや企業との対話能力を高めるために日々研鑽を積むとともに、組織としてスチュワードシップ活動の結果分析を継続して行うことで、その活動をリターン向上に繋げる努力を続けます。
また、スチュワードシップ活動の内容については経営会議や取締役会に報告されており、当社の経営陣はスチュワードシップ活動の状況を常に把握し、これを行うための実力向上に向けた体制強化、人材育成を推進します。
2020年4月には、投資プロセスへのESGの活用、ESGにかかわる投資先企業とのエンゲージメントの強化及びリテラシーの向上等の推進を目的として、ESGにかかわる専門組織を設置しました。2024年4月には、当組織の活動強化及びESGを活用した運用手法の一段の高度化を図るため、責任投資推進室を設置しました。当室は、その他部署との連携を図り、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づくスチュワードシップ活動が適切に行えるよう取り組みます。
当社は、投資先企業に対して有効に機能した対話事例や課題改善事例を積み重ね、サステナビリティ重点分野に関連した社内研修やESG に関する勉強会、外部の情報サービスの活用等により得られた知見を共有することなどを通じて、ファンドマネジャーおよびアナリストの実力の向上に努めます。